HSPは病気?HSPに症状・治療法・診断書が存在しない理由

HSPとは

繊細で傷つきやすいために人間関係でストレスを抱えやすく、刺激への敏感さが社会生活に影響を及ぼすこともあることから、HSPは病気と混同して捉えられることがあります。

ですが、HSPは繊細さ・敏感さといった特徴によって代表される気質、もしくはそのような気質を持った人たちを表す概念であり、決して病気ではありません。

ここでは、「HSPは病気である」という誤解を解くとともに、HSPの特徴に対して症状・治療法・診断書といった言葉が用いられない理由について解説します。

HSPの基本的な特徴

HSP(Highly Sensitive Person:ハイリー・センシティブ・パーソン)は、心理学者であるエイレン・N・アーロン博士が1996年に提唱した概念です。

HSPの基本的な特徴は、それぞれの頭文字を取った「DOES」という言葉で表されます。

・Depth of processing (D):処理の深さ
・Over stimulation (O):刺激過多になりやすい
・Emotional responsiveness & Empathy (E):感情反応の強さと高い共感性
・Sensitive to subtleties (S):微妙なことへの敏感さ

HSPは「感覚処理感受性(Sensory-Processing Sensitivity: SPS)」という用語で科学的な研究のテーマとなっていますが、現在のところHSPの特徴を決定づける医学的な証拠はありません。

そのため、現状として医学的な見解からHSPという診断が下されることはありません。

ただし、HSPに関する研究はまだ発展途上であり、感覚処理感受性に関連する遺伝子の存在を示した研究も発表されていることから、今後はHSPが医学的根拠のある概念として取り扱われるようになる可能性は否定できません。(参考

以上のことをまとめると、HSPとは「感覚処理感受性が高い人を表すための心理学的な概念である」ということが出来ます。

HSPの四大特徴である「DOES」とは?

HSPは遺伝する?私たちの社会に繊細・敏感な人が必要な理由とは

HSPの診断書はもらえる?

上で述べた通り、HSPは心理学的な概念であり、医学的分野で扱われる病気や症状とは異なります。

HSPとよく関連付けられる「症状」「治療」「診断書」という言葉の意味を挙げると、以下のようになります。(参考:大辞林 第三版)

・症状:病気や疾患の状態
・治療:病気を治すこと
・診断書:医師や歯科医師の作成する、診断結果を記載した証明書

HSPは病気ではないため、HSPに「症状」や「治療」という概念が当てはまらないことがわかります。

また、診断書は「患者の病気・怪我・障害の状況やその治療手段を証明」するために、医師や歯科医師が作成する診断書です。

HSPという概念が医学的に証明されているわけではないため、医師からHSPの診断書を受け取ることは出来ないことが理解できます。

ですが、精神科や心療内科などに勤める医師の中には、HSPの研究やカウンセリングに従事している人がいることも事実です。

そのため、HSPを証明する医学的な診断書を入手することは出来ませんが、一部の病院や診療所では、HSPに関するカウンセリングを受けることが可能です。

HSPの診断方法

医学的な手法によってHSPの診断を下すことは出来ませんが、心理学の分野で確立されたチェックテストによって、自分がHSPであるかどうかを判断することは可能です。

以下の記事に、HSP診断のためのセルフチェックテストを記載しているので、興味のある方は試してみて下さい。

日本人向けのHSP診断テスト【自分で出来るセルフチェック】

HSPは病気・障害ではないから生きづらい側面もある

上で述べた通り、HSPは病気や障害ではないため、医師による診断書を受け取ることは出来ません。

そして、医学的な診断が下されないことは、HSPに生きづらさをもたらす一つの要因であるかもしれません。

HSPと発達障害の違いは?自閉症スペクトラム障害(ASD)との比較を例に解説します

生きづらさの原因を理解するのに時間がかかる

その理由の一つは、「生きづらさの原因を理解するのに時間がかかる」ということです。

自分が感じる生きづらさの原因が病気や障害という形で明確になれば、その症状に応じた対処法を取ることが出来ます。

ですが、医師による診断が下されないHSPは、生きづらさの原因を自分自身で突き止め、それに応じた対処法を見つけ出さなくてはなりません。

利用できる社会的サービスが限られる

二つ目の理由は、「利用できる社会的サービスが限られる」ということです。

病気や障害を持っている人は、その生きづらさを緩和させるための社会的サービスを、診断結果に応じて受けることが出来ます。

ですが、病気や障害を持っている人たちを対象としたサービスを、HSPが受けることは出来ません。

病気や障害を持っている人が恵まれているというわけではありませんが、HSPは繊細さ・敏感さからくる生きづらさに対して、限られた支援の中で向き合わなくてはなりません。

生きづらさを抱えていることが“甘え”として見なされる

三つ目の理由は、病気や障害として明確な診断が下されないために、「HSPの抱える生きづらさが“甘え”として見なされる」ということです。

社会におけるHSPの認知度はまだまだ低く、医師による診断書ももらえないため、社会的に認められた後ろ盾もありません。

そのため、例えば繊細・敏感であるがために不登校や引きこもりになった人などは、その行動が甘えとして見なされてしまう傾向があります。

本来であれば、「不登校であるかどうか」「引きこもりであるかどうか」に対して、優劣をつけて判断することは出来ないはずです。

ですが、不登校や引きこもりを好ましくないものとして扱う価値観が社会には存在し、それら好ましくないとされる行動を取ることに医学的な理由付けがされないHSPは、他者に説明できない生きづらさを抱えてしまうことが考えられます。

HSPは自分を肯定することが重要

HSPが病気と混合されやすい原因の一つとして、「HSPの持つ繊細さや敏感さが社会における価値観の下で否定的に評価されやすく、そのことがHSPの社会生活に様々な困難をもたらす」ことが挙げられます。

HSPの持つ「傷つきやすさ」「疲れやすさ」などは、実際の社会生活を営む上で不利になる側面もあるかもしれませんが、それらは「きめ細かさ」「思慮深さ」といった長所の裏返しでもあります。

状況によって良くも悪くも働き、本来ならば優劣を持って語られるべきではない自分の特徴が社会から否定的に評価されるのは、とてもつらいことかもしれません。

ですが、HSPにとってそれ以上につらいのは、限られた社会生活を通して自分の中に築かれた価値観によって、自分自身を否定してしまうことかと思います。

少なくとも現在は、医学的な後ろ盾をもってHSPの生きづらさを緩和させることは出来ません。

そのため、HSPは身近な人を頼りにするとともに、自分自身を肯定的に捉え直してあげることが、社会における生きづらさを解消させるためには重要であるかと思います。

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おわりに

HSPは病気ではなく、「症状」「治療」「診断書」という概念には当てはまりません。

病気や障害として医学的な診断が下されないHSPは、社会からの理解や支援を得ることが難しく、他者に説明できない生きづらさを抱えてしまうこともあります。

ですが、HSPは「きめ細かさ」や「思慮深さ」といった様々な長所を持っており、偏った価値観の下ではその本質を捉えることは出来ません。

HSPという概念を自己理解のために活用し、公平な視点から自分の特徴を肯定的に捉え直すことができれば、HSPの生きづらさは大きく解消されるのかもしれません。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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