HSP/HSCとギフテッドの関係について

コラム

先天的に平均よりも高い知的能力を持つ人たちのことを「ギフテッド(Gifted)」と呼ぶことがあります。

ギフテッドは高度な知的能力に恵まれている一方で、人間関係や社会生活において生きづらさを抱えやすいとも言われています。

このことから、繊細・敏感なHSP/HSCは、ギフテッドと何らかの関係があるのではないかと指摘されることがあります。

ここでは、HSP/HSCとギフテッドの関係について、考察したいと思います。

ギフテッドとは

アメリカ教育省は、ギフテッドのことを「同世代の子供と比較して、並外れた成果を出せる程、突出した才能を持つ子供」として定義しています。(参考

その語源は、才能という意味も持つ英語の「Gift(ギフト)」からきており、ギフテッドという言葉は「特別な才能を与えられた」ということを意味しています。

ギフテッドの診断方法としては、古くはIQテストが実施されており、IQ130以上を基準としてギフテッドであるかどうかを判別していました。

ですが、IQはあくまで知能の一側面を評価する尺度であり、現在では多様な観点からギフテッドの判別を行うことが一般的になっています。

ギフテッドの特徴

ギフテッドと関連付けられる特徴として挙げられるのが、「敏感さ」「情動の強さ」「完璧主義」などです。

また、ギフテッドの60%以上は内向的な性格であり、特に知的能力の高い子供の場合にはその割合が75%以上にも及ぶとされています。(参考

以上に挙げたような特徴や高い知的能力は、しばしばギフテッドが社会的な孤立感を感じる原因となってしまうこともあります。

そのため、ギフテッドの中には、学業成績などで突出した存在となることを嫌い、自分の能力を隠して周囲と同調しようとするケースも見受けられます。

HSP/HSCとギフテッドの関連性

以上に挙げた「敏感さ」「情動の強さ」「完璧主義」といったギフテッドの特徴は、HSP/HSCにも共通してみられる特徴でもあります。

また、HSP/HSCにおいて内向的な人々の割合は約70%であると言われており、これはギフテッドにおける割合と近い数値となっています。

さらに、社会の中で生きづらさを感じやすいことも、HSP/HSCとギフテッドに共通する特徴です。

HSP/HSCに普遍的にみられる特徴を示した「DOES」という概念によると、HSP/HSCの敏感さは、精神面だけでなく身体面にも及ぶとされています。(HSPの四大特徴である「DOES」とは?

2009年にアメリカの研究者によって発表された研究結果によると、これまで精神的な側面を中心として語られてきたギフテッドの敏感さは、身体面にも及んでいる可能性が示されました。(参考

以上のことを合わせて考えると、HSP/HSCとギフテッドという2つの概念の間には、ある程度の相関性があるのかもしれません。

ギフテッドの能力を社会で生かすためには

ギフテッドは「物事を抽象的に捉え、パターン化する能力」に優れていると考えられます。

そのため、具体的な事象をパターン化し、新しい知見を見出す学術的分野は、ギフテッドの高い知的能力を生かす上で、適した場となるかもしれません。

特に、高い抽象的思考能力を必要とする数学や物理学といった学問領域は、ギフテッドの能力と強い親和性があると考えられます。

一方、様々な物事のパターンを見出すという作業は、人工知能(AI)が得意とする事柄でもあり、今後は抽象的な概念を用いた知的労働の多くが、AIに取って代わられる可能性があります。

また、物事を抽象化・パターン化するという行為は、人間が物事を理解する上で有効な手段となりますが、情報処理能力や扱える情報量に優れたAIは、将来的に人間の思考能力が及ばない知見を次々を生み出すことが予想されます。

そのため、抽象的な思考能力を代表とするギフテッドの才能を将来の社会で生かすためには、ギフテッドの知的な能力のみに焦点を当てるのではなく、身体的な感受性をも考慮に入れた、統合的な能力開発が必要となるのかもしれません。

おわりに

ギフテッドは「敏感さ」「情動の強さ」「完璧主義」といった特徴を持っており、社会で生きづらさを抱えがちな傾向もあります。

そのため、よく似た特徴を持つHSP/HSCとは、ある程度の相関性を持つことが予想されます。

ギフテッドは抽象的な思考能力に優れていますが、抽象的な概念を扱う知的労働の多くは、今後AIに取って代わられる可能性があります。

今後は、ギフテッドだけでなくHSP/HSCにおける能力開発も含めて、精神的・身体的な感受性をともに考慮に入れた、統合的なアプローチが発展していくと期待されます。

最後まで読んでいただきありがとうございました!