HSPは遺伝する?私たちの社会に繊細・敏感な人が必要な理由とは

HSPとは

HSP研究の第一人者であるエイレン・N・アーロン博士によると、人・犬・猫といった高等動物の約20%は、繊細・敏感といったHSPに特徴的な性質を持っているとされています。

そして、私たち人間を含む動物社会が存続するためには、この繊細・敏感な性質の存在が欠かせないと考えられています。

私たちの性格・特徴は、遺伝子による先天的要因と環境による後天的要因の相互作用によって形作られますが、HSPの繊細・敏感な性質に遺伝の要素はどれほど関わっているのでしょうか?

ここでは、HSPの繊細・敏感な性質に与える遺伝子の影響と、私たちの社会にHSPの存在が欠かせない理由について解説します。

HSPの性質は遺伝する

HSPの繊細・敏感な性質は、学術的な用語では「感覚処理感受性(Sensory-Processing Sensitivity: SPS)」と呼ばれます。

イギリスの思春期の若者を対象にした調査によると、この感覚処理感受性の高さは約半分が遺伝子による先天的要因により、残りの半分が後天的要因によって決定されることがわかりました。(参考

また、感覚処理感受性は「刺激に対する敏感さ(低感覚閾:LST)」「興奮のしやすさ(易興奮性:EOE)」「感受性の強さ(美的感受性:AES)」という3つの要素から成り立っており、最も遺伝子の影響を受けやすいのは「感受性の強さ」であるとされています。

以上のことをまとめると、「繊細・敏感なHSPの性質は遺伝による影響を受け、特に感受性の強さはその影響度が高い」ということが言えます。

繊細さ・敏感さに関わる遺伝子

感覚処理感受性(SPS)と関わりがあるとされている遺伝子として、セロトニン・トランスポーター遺伝子が挙げられます。

セロトニンは感情や気分のコントロールに関係している脳内神経伝達物質で、セロトニンの不足が精神バランスの崩れやうつ病の発症につながることから、「幸せホルモン」とも呼ばれています。

セロトニン・トランスポーター遺伝子は、脳内でのセロトニンのやり取りに関わる遺伝子で、遺伝子配列の違いによりSS型・SL型・LL型の3タイプに分けられます。

これら3タイプのうち、SS型を持つ人は不安感やうつ病の発症率が高い傾向にあると言われており、感覚処理感受性の高さとも関係しているという研究結果があります。(参考

まだ確かなことは判明してはいませんが、このSS型のセロトニン・トランスポーター遺伝子がHSPの繊細さ・敏感さに関係している遺伝子であることが、過去の研究結果から示唆されています。

私たちの社会にHSPが必要な理由

感覚処理感受性の高い人たちは、環境中の様々な刺激に対してストレスを感じやすく、それらから生じる不安感や恐怖感が記憶に残りやすいとされています。(参考

このことは、HSPが他者の些細な言動や行動によって傷つきやすく、その記憶に長いあいだ思い悩まされる傾向があることと、よく一致しています。

様々な刺激に対してストレスを感じやすく、その記憶が残りやすいという特徴は、HSPが感じる生きづらさの大きな原因となっています。

一方、ストレスを感じやすいHSPは危機察知能力に優れているとともに、不安感や恐怖感に対する記憶力の高さは、それらに対する防衛行動を取る上での欠かせない資質でもあります。

つまり、HSPの繊細さや敏感さは、逆境や環境の変化に対する対応力の表れでもあるといえます。

私たちの社会は常に環境の変化にさらされており、変化に対する適応は人間社会を存続させる上で欠かせません。

特に、現代社会は人口増加や技術革新のペースが速く、私たちを取り巻く環境はこれまで以上に急激な変化を遂げています。

社会で生きづらさを抱えやすいHSPですが、その繊細さや敏感さは人間社会が変化し続ける環境に適応するために不可欠であり、今後はその重要性がますます高くなることが考えられます。

おわりに

高い感覚処理感受性(SPS)というHSPの性質は遺伝による影響を受けており、特に感受性の高さはその影響が大きいとされています。

また、HSPの繊細さ・敏感さに関わる遺伝子として考えられているのが、「セロトニン・トランスポーター遺伝子」であり、感覚処理感受性の高いHSPはSS型のセロトニン・トランスポーター遺伝子を持っている可能性があると示されています。

繊細・敏感なHSPは環境からの刺激にストレスを感じやすく、その記憶も残りやすい傾向にありますが、その性質はHSPの環境変化に対する対応力の高さにもつながっています。

環境に適応し続けることが求められる私たちの社会は、HSPの繊細さ・敏感さを欠かすことが出来ず、これからはその重要性がますます高まると予想されます。

この記事が、繊細さ・敏感さを感じているHSPの自己理解につながり、その特徴に対して自信を持てるきっかけとなれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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