HSPはうつ病になりやすい?自己肯定感が低くなりがちな理由とその対策について

HSPとは

HSPは繊細で傷つきやすい心を持ち、物事を深く考える傾向があります。

また、繊細さ・敏感さといったHSPの特徴は、社会において否定的に評価されがちです。

以上のことから、HSPは日常生活において不安を感じやすく、自己肯定感が低い傾向にあると考えられます。

そして、大きな不安感や自己肯定感の低さは、時としてうつ病を発症させる原因となってしまうことがあります。

ここでは、繊細・敏感なHSPとうつ病の関係性を述べ、HSPの自己肯定感が低くなりがちな理由とその対策について考察します。

うつ病とは

うつ病は、脳の働きに何らかの問題が起きることで、2週間以上にわたって沈んだ気分や興味・喜びの喪失が続き、仕事や日常生活に様々な困難が生じてしまう状態のことを指します。

うつ病は心だけでなく体にも影響を及ぼし、「不安感」「意欲の低下」「倦怠感」などを引き起こします。

心や体に生じるうつ病の症状としては、以下のものが挙げられます。

心の症状
・抑うつ気分
・不安感/焦燥感
・興味や喜びの消失
・意欲の低下

・消えてしまいたい気持ち
・自分を責める
・物事が頭に入らない

体の症状
・睡眠障害
・食欲不振
・疲労感/倦怠感
・動悸/息苦しさ
・体の重さや痛み

近年、うつ病の患者数は増加傾向にあり、16人に1人は生涯にうつ病を経験するという報告もされています。

(参考:うつ病とはどんな病気?

HSPとうつ病との関係

アメリカの研究者によって行われた研究によると、HSPに特徴的な感覚処理感受性(Sensory-Processing Sensitivity: SPS)の強さは、うつ傾向や不安感との間に正の相関があるという結果が報告されています。(参考

つまり、HSPとしての強い特徴を持っている人ほど、不安を感じやすく、うつ的な気分に陥りやすいということが、この結果からみて取れます。

さらに、HSPと非HSPを比べた結果でも、HSPは非HSPに比べて不安感やうつ傾向が高いことが示されています。

また、別の研究では、不安感やうつ病の発症率が高い人によく見られる「SS型セロトニン・トランスポーター遺伝子」という遺伝子と、HSPとの関連が指摘されています。(参考

HSPとうつ病に関する研究は少なく、確定的なことはまだわからないのが実状ですが、HSPであることとうつ病を発症するリスクとの間には、何らかの関係性があるのかもしれません。

HSPは遺伝する?私たちの社会に繊細・敏感な人が必要な理由とは

HSPの自己肯定感が低くなりがちな理由

HSPが持つ不安感やうつ傾向の高さは、HSPの自己肯定感が低くなりがちなことと無関係ではありません。

そして、自己肯定感の低さはHSP自身の問題というわけではなく、社会との関わりの中で生じるものであると考えられます。

以下で、HSPの自己肯定感が低くなりがちな理由を挙げていきます。

HSPの特徴が社会で不利になりやすい

自由競争が浸透した現代社会では、「競争力」「決断力」「行動力」などが重視されがちです。

技術革新によって国際化が進んだこともあり、この傾向はより顕著になっているかもしれません。

一方、共感力が強くて思慮深いHSPは、他者の気持ちや物事の正しさを、慎重に見極めて行動を起こす傾向があります。

そのため、競争的な社会ではその行動が後手に回りがちで、その気遣いや倫理観が裏目に出てしまう場合があります。

以上のように、HSPに特徴的な行動が社会で不利を被ることによって、自己肯定感が低くなってしまう可能性が考えられます。

自分で責任を背負い込みやすい

思慮深く、他者の気持ちを感じ取るのが得意なHSPは、物事を様々な視点から考える能力に優れています。

そのため、仕事などで失敗を犯した時には、安易に周りの人を責めるようなことをせず、自分の責任を冷静に受け止めることが出来ます。

自分の失敗を客観的に判断し、認めることの出来る点はHSPの美点であるといえますが、それが過剰になると、なんでも自分のせいにしてしまうマイナス思考にもつながってしまいます。

また、他人に迷惑をかけられないという優しさから、一人で物事を背負い込んでしまい、心身ともに疲弊してしまうこともあります。

以上のように、良心的でストイックな性格が、HSPの自己肯定感を低くしている可能性も考えられます。

HSPの自己肯定感を高めるためには

HSPの自己肯定感を高めるための対策の一つとして、社会や自分の中にある思い込みに気づくことが挙げられます。

以下で、社会や自分の思いこみに気づくことの重要性について、述べていきます。

社会の思い込みに気づく

物事の正しさについて深く考えがちなHSPは、「なぜ学校に行くのか」「お金を稼げば幸せになれるのか」「便利さ豊かさを求めることは良いことなのか」などの疑問を抱くことが多いかと思います。

また、否応なしに受験勉強・就職活動・結婚や出産などの価値観を押し付けられることに、違和感を感じることも少なくないはずです。

社会で「こうあるべき」と掲げられる理想像の多くは、思い込みに過ぎません。

ですが、多くの人はその思い込みの中で生きているので、「こうあるべき」という考え方が、競争や社会的評価といった圧力となって襲い掛かってきます。

自分自身も思い込みの中で生きていると、特にその思い込みに疑問を抱きやすいHSPは、社会からの圧力に押しつぶされがちです。

社会的な価値観から完全に離れて生きることは難しいかもしれませんが、その価値観の多くが単なる思い込みから生じていることに気づけば、たとえ社会から正当に評価されないとしても、自己肯定感を保ち続けることが出来るはずです。

自分の思い込みに気づく

社会だけでなく自分の中にも、「こうあるべき」という思い込みは存在します。

些細な点にもよく気が付くHSPは、自分の欠点を見過ごすことが出来ない完璧主義者になりがちです。

なので、周りの人から見たら魅力にあふれる存在であっても、多くのコンプレックスを抱えていて、自分に自信が持てないという人が少なくないかと思います。

ですが、自分が感じている欠点の多くも、「周囲からどう評価されるのか」という思い込みから生じている可能性が高いと思われます。

HSPの繊細さや敏感さが、生きづらさの原因にも幸せに生きるための才能にもなるのと同じように、自分が欠点だと思っている特徴は、長所として捉えることも出来るはずです。

自分の中にある思い込みを取り去ることが出来れば、自分の特徴を公平な視点から捉えることができ、自己肯定感を高めることにつながると考えられます。

おわりに

これまでに行われてきた研究は、HSPが高い不安感やうつ傾向を持ちやすいことを示しています。

その原因として、「繊細さ・敏感さが正しく評価されない社会において、HSPの自己肯定感が低くなりやすい」ことが挙げられます。

そして、HSPの自己肯定感が低くなりがちな背景には、HSPの持つ優しさや思慮深さが関係していると思われます。

私たちの多くは、社会や自分自身の思い込みの中で生きています。

そのような思い込みの存在に気づくことが出来れば、HSPが自分に自信を持ち、自己肯定感を高めることにつながるのかもしれません。

最後に、現在うつ病で悩んでいる方、うつ病の可能性がある方に関しては、「うつ病・こころとからだ」というホームページにて、うつ病についての情報入手や病院検索が出来ますので、参考にしてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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