「アドレスホッパー」とは市橋正太郎さんが提唱した概念で、「固定の住居を持たずに転々とする多拠点生活者」のことを指します。
自分の家を持つ代わりにホテル・ゲストハウス・民泊などを利用し、毎日もしくは数日おきに拠点を移す生活をしています。
ここでは、アドレスホッパーとなるための基礎知識やメリット・デメリットなどについてご紹介します。
アドレスホッパー=家を持たない多拠点生活者
上でも挙げた市橋正太郎さんは「固定の住居を持たずに転々とする多拠点生活」のことをアドレスホッピングと名付け、その実践者をアドレスホッパーと呼んでいます。
日々の拠点としてはホテル・ゲストハウス・民泊などを利用し、時にはサウナや空港といった場所で一晩を過ごすこともあります。
家を持たないことで毎月の光熱費・水道代といった支出が必要なくなるとともに、通勤や部屋の掃除といった煩わしさから解放されるという利点があります。
アドレスホッパーになるには
アドレスホッパーの住所・住民票
家を持たないアドレスホッパーでも、どこかしらの自治体に住民票登録をする必要があり、主な住民票登録先としては実家・友人宅・職場などが挙げられます。
そのため、アドレスホッパーとして多拠点生活をするためには、家族・友人・勤務先といった人たちに、住民票を置かせてもらうための了承を得ることが必要となります。
税金・郵便物について
正社員として働いている場合には各種税金・保険料が給料から天引きされますが、フリーランスとして働いている場合には、住民税や保険料の支払いを住民票の登録先である自治体で行う必要があります。
各種税金・保険料の納付書は住民票の登録先に届くので、その受け取り・保管などに関しては、そこに常駐している人に協力をお願いしなくてはなりません。
郵便物も同様に、誰かに受け取りをお願いするか、コンビニや宅配ボックスを利用して受け取る必要があります。
アドレスホッパーの仕事・職業
農家といった土地と強い結びつきのある仕事では難しいかもしれませんが、基本的にはどんな仕事・職業であっても、アドレスホッパーとして生活することは可能です。
そのため、正社員として毎日同じオフィスに出社しながら、アドレスホッパーとして生活することも出来ます。
その場合には、アドレスホッパーとなることで毎日の通勤時間を短縮させることが出来るというメリットがあります。
また、リモートワークが可能な仕事に就いている場合は、アドレスホッパーとなることでお金を稼ぎながら旅をし続けることも出来ます。
【アドレスホッパーと仕事】多拠点生活におすすめの仕事は?フリーランスとしても働ける職業5選
アドレスホッパーになるための収入
日々の生活に必要な支出は人によって異なるため、アドレスホッパーになるために最低限必要な収入は特に決まってはいません。
アドレスホッパーとなることで余分に必要となる支出は特にないので、独身者の場合は一人暮らしに必要な稼ぎがあれば、いつでもアドレスホッピングを始めることが出来ます。
むしろ、光熱費や水道費を節約できるアドレスホッパーは、賃貸住宅で一人暮らしする場合と比べて、生活費を安く抑えることも可能です。
東京や大阪などの都市部には1泊1000円台で泊まれる安宿が多くあるとともに、最近は「ホステルパス」という月額1.5万円で複数のゲストハウスに宿泊できるサービスも生まれています。
【アドレスホッパーとお金】多拠点生活を実現させるために最低限必要な収入・月収は?
アドレスホッパーの持ち物
多拠点生活を送るためには、持ち物をなるべく少なくする必要があります。
アドレスホッパーの提唱者である市橋正太郎さんは、アドレスホッパーであるとともにミニマリストでもあり、普段の荷物を80Lのバックパックに収納できる範囲に抑えているそうです。
その内容は、ほとんどが「トレーナー、Tシャツ、下着類、インナーダウン」といった衣類で占められています。
また、普段使わない荷物については、「サマリーポケット」という収納サービスを利用して預けているそうです。
サマリーポケットは250円で1箱分の荷物を収納することができ、市橋さんは10箱分ほど利用していて、月々の3000~4000円支払っています。
市橋さんが利用しているわけではありませんが、ジャケットやコートなど冬物の衣類に関しては、「カジタク」といった保管サービス付きの宅配クリーニングを利用するのも便利です。
(参考:https://note.mu/shotaroichihashi/n/n66d94caebba4)
アドレスホッパーのメリット
生活費(住宅費・光熱費・水道代)を節約できる
アドレスホッパーとして生活すれば、月々の光熱費・水道代を支払う必要がなくなります。
また、上述のホステルパスや安宿を上手に利用すれば、賃貸住宅に住む場合と比べて、住宅費も節約することが出来ます。
外食が増えることで食費がかさむことも考えられますが、キッチンが使えるゲストハウスも多くあるので、それらを利用すれば食費が高くなることもありません。
時間を有効に使える
会社勤めの場合、オフィス近くのホテルやゲストハウスに宿泊すれば、毎日の通勤に必要な時間を短縮させることが出来ます。
また、アドレスホッパーとして生活すると、部屋の片づけや掃除をする必要がなくなります。
時間を合理的に有効活用することによって、余った時間を趣味に費やしたり、副業をして収入を増やしたりすることが出来ます。
様々な人たちと交流できる
アドレスホッパーとして生活している人の中には、多拠点生活を通してパートナーを探している人も多くいます。
パートナーだけでなく、様々な価値観やバックグラウンドを持った人たちと交流を深めることが出来るのも、アドレスホッパーの魅力であるといえます。
中には、ゲストハウスで出会った人たちと新しい事業やイベントを立ち上げるアドレスホッパーもいます。
多拠点生活のデメリット
家族・友人・職場などの協力を必要とする
アドレスホッパーとして生活する場合でも、どこかしらの自治体に住民票登録を行う必要があります。
そのため、家族・友人・職場などに協力してもらい、住民票を登録できるように了承してもらわなければなりません。
また、各種税金・保険料の納付書や郵便物の受け取りなどについても、それらの人たちの協力を仰ぐ必要があります。
荷物の保管場所が必要
日々の生活に必要な荷物はバックパック一つに収めることが出来るかもしれませんが、銀行・保険・クレジットカード関連の書類など、重要な書類はどこか安全な場所に保管するのが無難です。
また、冬物衣類やレジャー用品など、かさばる荷物を常に持ち歩くことはとても不便です。
そのため、家族・友人・職場などにお願いしたり、上述のサマリーポケットといった収納サービスを利用して、持ち歩く必要のない荷物の保管場所を確保する必要があります。
まとめ
家を持たずに生活するアドレスホッパーというライフスタイルはまだ新しく、突飛な生き方と見られることもあるかもしれません。
ですが、新たなテクノロジーやサービスが次々と生まれ、シェアリングエコノミーがますます発達するこれからの社会では、ごく一般的な暮らし方となることが予想されます。
合理的で必要最小限な生き方を志向する人にとっては、アドレスホッパーが最適解の一つであるかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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